演技?

北朝鮮からのニュースは横田めぐみさんの夫とされる金氏の北朝鮮政府のシナリオ通りに演技する会見姿が報じられている。おそらく暗記するまで繰り返し、繰り返し練習させられたのだろう。終った後のホッとした表情が全てを物語っている。隣に座っている母親の虚ろな表情も痛々しい。どちらにしても見るに耐えない残酷なショーだ。テポドン発射準備といい瀬戸際外交を展開するしたたかさになんとも言えないやりきれなさを感じる。
本当かどうか保証の限りでないが、心に残っている言葉がある。それは「地球上の動物で同一種が殺しあうまで戦うのは人間だけだ」というものだ。最近は「同一種」どころか、基本ユニットである「家族」間でさえ殺人事件が特異なことでなくなってしまっている。教育基本法愛国心を盛りこむことをめぐって侃侃諤諤たる議論が喧しい。基本である家庭内での教育が疎かにされている現状を見るにつけ、何を議論しても空しく響くだけだ。
文藝春秋8月臨時増刊号(私が愛する日本)から言語社会学者の鈴木孝夫氏の「日本人よ目を覚ませ/この国の美実を知るための5つの視点」から、彼が日本の誇るべき点として5つをあげているので引用する。
①日本は長い歴史を通して、外国と戦争をした期間が世界で最も少ない国である。
②国のあり方が千数百年も不変である。
③日本は奴隷制という人間を家畜として売買し酷使する社会制度を、ただの一度も持ったことのない珍しい国である。
④日本は世界で最も詩人の多い国である。
⑤日本は驚くほど宗教について寛容であり、これは今後の世界のモデルとなりうる。
①は統計的には正しいかもしれないが、ここ100年の近代の歴史を振り返ると実質的にはどうかなと思ってしまう。②③④⑤はそういう考え方もあるんだと納得する。特に④は雑誌、新聞の短歌、俳句欄の投稿等庶民の文化度の高さを見るにつけなるほどだと思う。これは誇りに思って良い。
●聴いた曲
 ブラームス交響曲第1番」
  小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ