モーツァルト250歳の誕生日

急いで夕食を済ませ「**蓄音器館」へ向かう。7時開始より10分ぐらい遅れて到着する。100人ぐらいの人で会場はすし詰め状態なので、丸椅子を借りて一番後ろのピアノが置いてある付近に座る。もらったパンフレットには「お誕生日おめでとう!モーツァルト(250歳のお誕生会)」という見出しの下に鑑賞予定曲が印刷されている。「魔笛」序曲から始まり最後の8曲目は「フルートとハープのための協奏曲」となっている。SPレコードを前方の蓄音器で聴くのだが、4曲目の「ピアノソナタハ長調(K545)」だけは生演奏で、1メートルぐらいしか離れていないところに座っていたので演奏者の指の動きを興味深く見ることが出来た。聴いたことがない曲は「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ変ロ単調(K378)」だけだった。ワルターのピアノ兼指揮のウイーンフィル「ピアノ協奏曲二短調(K466)」(第2楽章)は良かった。コンサートではなく大勢でレコードを聴くという風景は新鮮というかいい意味で異様に感じたが、貴重な体験をさせてもらった。
聴いているとき、小学校時代の音楽室へ初めて入ったときのことを思い出した。教室と違っていわば別次元の空間で、一番びっくりしたのは壁にいかめしい顔をしたかつらをかぶった絵が並んでいることだった。バッハ、ヘンデルハイドンモーツァルト、ベートーベン、シューベルトの順で確かブラームスもいた。始めて見たときはかつらだと分からずおかしな髪形だと思ったものだ。それと変なことも思い出す。確か5年の音楽の授業で、担任がピアノを弾いて「牧場の朝」を歌っていたのだが、1番から2番の中間部の部分がうまく弾けず調子はずれになり、私が笑ったら皆がつられて笑ってしまい、担任がじろりと私の顔を見たというものだ。