率先垂範

年金問題が国民の切実な課題として議論されている。共済年金、厚生年金、国民年金の統合を見据えた議論が進められようとしている。こういう中で議員年金の廃止を含めた議論も半ば政争化しようとしている。昨秋の文藝春秋の何月号か特定できないが、在イタリアの塩野七生氏の「日本人へ」と題した巻頭随筆を読んでいささかびっくりしたので引用してみる。国会議員は30年勤続表彰を受けると自動的に議員年金の需給を受ける権利を取得する。小泉純一郎氏は表彰を拒否し、権利を放棄した。与野党問わずほとんどの議員は表彰を拒否しない、つまり議員年金需給の権利を行使する。強面の小沢一郎氏、庶民の味方を標榜する土井たか子氏も例外でなかったのことだ。その後小沢、土井両氏から抗議がなかったから本当だと思う。率先垂範という言葉があるが、これをどう見るかはおのおのの判断だと思う。
犬が人間に噛み付いてもニュースにならないが、人間が犬を噛んだらニュースになるというが、耐震偽装、偽計取引、不正改造、官製談合とこれでもかこれでもかと負のニュースのオンパレードだ。テレビでは、これまた訳知り顔でコメンテータが人民裁判さながら正義の志士を気取っての発言を繰り返している。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし」(方丈記
「ひたすら世を貪る心のみ深く、もののあはれも知らずなり行くなんあさましき」(徒然草