合掌!

昨晩、藤田元巨人軍監督逝去のニュースが流れる。現役時代巨人のエースとして細身の体から速球と縦に落ちるカーブ(当時はドロップといっていた)を投げる精悍な姿が懐かしく思い出される。また、監督としても国民的スターである長嶋の突然の解任劇のあと、悪役扱いされるのが判っている誰もやりたくない巨人軍監督の座を引き受けて、一転好成績を収めたのは強く記憶に残っている。また、もう一人のスターの王監督の解任の後も引き受けて好成績を挙げた。
悲運のエースとして知られているが、昭和33年の西鉄との日本シリーズは史上初めて3連勝の後の4連敗で巨人が負けたことで知られている。小学校6年だった私は自分の家にまだテレビがなかったので友達のY君の家でその試合を見ていた。4戦目の9回2アウト、1点リードした巨人のマウンドには藤田が立っていた。バッターは関口選手、カウントははっきり覚えていないが2ストライク後だったと思う。藤田の渾身で投げた球を関口がセンター前へヒットし同点に追いつき、延長の末西鉄が逆転勝ちした。その後7戦目まで連勝し西鉄日本シリーズを制した。そのシリーズのMVPは稲尾投手で、分業化された現在の野球では信じられないかもしれないが先発、救援と獅子奮迅の活躍で以後7戦目まで全て勝ち投手(シリーズ7戦で4勝2敗)となり、この年の超人的な活躍で「神様稲生様」として知られるようになる。一方、藤田はこの試合の負け投手(シリーズ1勝2敗)で「悲運のエース」となる。私にとっても今まで多くの野球の試合を見てきたが、江夏の神がかりの投球で広島が日本一となったシリーズと並んで一番記憶に残るシリーズだ。
引退後の解説者としてのクレバーな話しぶりも大変印象に残っている。合掌!