材料取りシステム

出勤日の土曜日、12時過ぎにビルの通用口を出たところにあるゴミ箱へゴミを捨てるため通用口の扉を開けようとしたが土曜日なのでロックがかかっていた。そこで正面入り口から出てゴミを捨てて戻ってきたとき、前の会社の顧客である***社の元部長のNさんが通りかかった。Nさんはその後関連会社の専務を努めた後10年ぐらい前に退職された。最後にお会いしたのは確か3年位前だったと思う。校下の盆踊り大会の公園の芝生で町会の役員たちと車座になって酒を酌み交わしているとき、声をかけて通り過ぎていかれた。「お元気そうですね」と申し上げると、今日も「おかげさまで」といつもながらの温厚な表情で通り過ぎていかれた。
私と***社との付き合いはコンピュータシステムを納入した際のシステムエンジニア(SE)として生産管理システムの構築支援を担当した30年前に遡る。***社はビル用アルミサッシの製造会社でNさんは製造部長としてシステムの効率化に腐心しておられた。私に「アルミサッシの効率的な材料取りのためのシステムを考えてもらえないか。歩留率の向上は喫緊の課題なのです」と切羽詰った真摯な表情で依頼された。「材料取りシステム」と名づけたそのシステムの中核のプログラム設計は私にとって難易度の最も高いものの一つだったのでよく覚えている。通常はプログラム開発はプログラマが担当するのだが、そのプログラムだけは難解なのでSEである私が直接開発した。試行錯誤の連続で納期間際には2日間寝ずに仕上げたことを思い出す。完成したときNさんは「ご苦労さまでした。助かります」と握手し深く頭を下げられた。漏れ聞くところによると、コンピュータは何回も更新したがそのプログラムは今も使われているという。
製薬会社の技術者の娘婿はドイツへ製造ラインの機械の受入れ検収のための出張に出かけた。1時半ごろ「2週間留守にしますので**子(娘)をお願いします。今大阪に向かっています。大阪で一泊して明日朝8時に関西国際空港に行って、フランクフルトに約12時間かけて向かいます。フランクフルトからは新幹線で南のシュトゥットガルトに向かいます。検収終了後の帰宅予定は早くて28日午後です。多分、そのときは更にビール太りしています」とメールが入る。その娘は夕食前に来た。また喧しくなる。困ったものだ?
●聞いた曲
 ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番、第2番、第3番」
  ボザール・トリオ
  メネヘム・プレスラー(ピアノ)