十万億土

十万億土、手元の電子辞書の広辞苑で索引すると「(仏)娑婆世界から阿弥陀如来の極楽浄土に至る間にある仏国土の数、極楽が遠いことをいう」となっている。玄侑宗久の「中陰の花」を読むと十万億土の距離について主人公が妻に語るくだりがある。誰かが距離を算出したらしい。その距離を49日(中陰)で割ると秒速30万キロつまり光の速度になったという。EXCELで計算してみたら1.27兆キロだった。人は光にならない限り到達できない。なるほど遠いわけだ。宇宙のはじめに起ったと考えられる大爆発、ビッグバンはガモフが提唱したのだが、仏教の教義が大いに寄与したらしい。小説の筋立ては亡くなったオガミヤのおばあさんと、僧侶である主人公夫婦の数年前に流産した水子の供養のお経で終わるのだが面白く読むことができた。玄侑の本もどんどん読みたい。